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彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】

第4章 彼女は七海の幸せを心から願っていた


その夜、わたしの世界は終わった。

手元の単行本、そのページに描かれた無残な現実に、心臓が握り潰されたような衝撃が走る。
最推しの『死』だった。


『七海建人』という、不器用で、誰よりも誠実で、孤独に耐え続けた男が、あんな、あんな最期を遂げるなんて。


「……嘘だ、嫌だよ……」


涙がボロボロと紙面を汚していく。
彼に幸せになってほしかった。
ただ、パンを買い、適度に仕事をして、クアンタンの波音を聞きながら、静かに老いてほしかった。
そんなささやかな願いすら、この物語は許してくれないのか。



「……なんでもいい。何でも差し出すから、彼を、助けて……」



呻くようにこぼれた言葉は、祈りというよりは呪詛に近かった。





ある日、気がつけば見覚えのない路地の奥、古びた、けれどどこか浮世離れした『店』の前に立っていた。
吸い寄せられるように、格子戸を開ける。



「あら、随分と大きな願いを抱えてきたわね」



立ち込めるお香の香りの向こう側。
豪華な着物を纏い、長いキセルを指に挟んだ女性――壱原侑子が、すべてを見透かしたような瞳で私を見下ろしていた。





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