彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第3章 彼女は七海と幸せになりたい
「彼は、あなたと出会って、ようやく自分自身を許せたんだと思います。……あなたが彼を幸せにし、彼に『生きたい』と思わせた。……さん、どうか自分を責めないでください。あなたは彼にとって、絶望の中に見つけた唯一の光だったんですから」
「光、だなんて……。私は、彼を送り出すことしかできなかった……」
は声を震わせ、伊地知の手を握り返した。
「でもね、伊地知くん。……この子が、時々動くの。まるで、パパはここにいるよって、私を励ますみたいに」
が自分のお腹を優しく撫でると、伊地知は鼻をすすり、眼鏡を拭った。
「……強いですね、あなたは。七海さんが、虎杖くんに託してまで守りたかった理由が分かる気がします。……さん。彼がいなくなったこの世界は、クソみたいな場所かもしれませんが……私たちが、その子の味方になりますから」
「……ありがとう、伊地知くん。……建人さんの分まで、長生きしてね」
病室に差し込む夕陽は、あの日見た渋谷の赤い空とは違い、どこか優しく二人を包んでいた。
尊敬する人を失った男と、最愛の夫を失った女。
二人は、遺された小さな命の鼓動を唯一の道標に、静かに涙を分かち合ったのだったーー。