彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第3章 彼女は七海と幸せになりたい
食卓には、育ち盛りの虎杖に合わせたボリュームのある料理が並んだ。
「うめぇ! さん、料理の天才じゃん! ナナミン、毎日こんなの食ってんの?」
「行儀が悪いですよ、虎杖くん。……ですが、彼女の料理が世界一なのは同意します」
七海は澄ました顔をしながらも、の分のお茶をこまめに注ぎ足し、彼女が少し動こうとするだけで「座っていなさい」と過保護に制止する。
「もう、建人さん、過保護すぎ。虎杖くんも笑ってるじゃない」
「笑ってないよ。感心してる!ナナミン、いつもよりずっと顔が柔らかいから。……ねぇ、さん。ナナミンって家ではどんな感じなの?」
「そうねぇ……。意外と甘えん坊、かな? 疲れて帰ってくると、ずっとこうして……私の膝に頭を乗せて動かなくなったりするのよ」
「さん!そこまで暴露しなくても……っ」
珍しく耳まで赤くして狼狽える七海を見て、虎杖は大爆笑した。
「……いいなぁ。なんか、こういうの」
食後、虎杖は温かいお茶をすすりながら、幸せそうに微笑み合う二人を眺めて呟いた。
過酷な運命を背負わされた少年が見つけた、束の間の「家族」の風景。
「虎杖くん。世界は不条理に満ちていますが、守るべきものがあれば人は強くなれます」
七海はの腰をそっと抱き寄せ、そのお腹に優しく手を当てた。
「あなたも、いつか分かります。……私がなぜ、このクソみたいな世界に戻ってきてまで、この場所を守ろうとしているのか」
「……おう! わかる気がする。俺も、ナナミンたちのこの幸せ、絶対守る手伝いするからさ!」
は建人の肩にそっと頭を預け、愛おしそうに夫となる男と、新しい後輩を見つめた。
「さあ、虎杖くん。デザートも食べちゃいなさい。建人さんが頑張って並んで買ってきてくれた、有名なケーキがあるのよ」
「えっ、ナナミンが並んだの!? シュールすぎる……!」
「……何事も迅速に済ませるのが私の流儀ですから」
賑やかな笑い声が、夜の帳を優しく溶かしていく。
それは、七海建人がようやく手に入れた、何にも代えがたい「まともで、幸福な地獄」の日常だった。