彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第3章 彼女は七海と幸せになりたい
医務室を出たあとも、七海はの肩を抱き寄せ、片時も離そうとはしなかった。
都内のマンション。
彼が「まともな生活」を求めて手に入れ、今は二人で過ごすことの増えたその場所へ、七海は彼女を大切に連れ帰った。
玄関の鍵を閉めた瞬間、七海はを後ろからそっと包み込むように抱きしめてから、部屋に急ぐように向かう。
「……建人さん? どうしたんですか、そんなに急いで」
「いえ。……少し、気が急いてしまいまして」
七海はリビングの棚の奥から、小さな、けれど重厚な輝きを放つ紺色の小箱を取り出した。
「本当は、あなたの誕生日……10月31日に渡そうと用意していたんです。ハロウィンの喧騒に紛れて、柄にもなくサプライズでもしようかと。……ですが、もう待てません」
七海がの正面に立ち、箱を開ける。
そこには、控えめながらも最高級の輝きを放つダイヤモンドの指輪が収められていた。
「……わあ、……綺麗……っ」
が息を呑む。
七海はその震える左手を取り、真剣な、一点の曇りもない瞳で彼女を見つめた。
「さん。私はかつて、あなたを捨てて逃げ出した卑怯な男です。ですが、あなたはそんな私を待ち続け、もう一度、光のある場所へ引き戻してくれた」
七海の指先が、の薬指にゆっくりと銀の輪を滑らせる。
「新しい命を授かった今、改めて誓わせてください。……私の人生、その一分一秒まで、すべてをあなたと、そして生まれてくる子供に捧げます。……私と、結婚してください」
「……っ、はい……! 私の方こそ、建人さんの奥さんにしてください……っ!」
が泣き笑いの顔で胸に飛び込むと、七海は愛おしさが決壊したように、彼女の髪を何度も撫で、そのこめかみに幾度も口づけを落とした。