彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第3章 彼女は七海と幸せになりたい
医務室に、沈黙が落ちた。
は驚きに目を見開き、自分の腹部にそっと手を添えた。
「赤ちゃん……。私と、建人さんの……」
七海は、彫像のように固まっていた。
あの一夜。
薬で理性を失い、彼女を孕ませようとするほどの激情で、何度も、何度も、中に出した。
その熱の結果が、今、ここに宿っている。
「……建人、さん……?」
が不安げに彼を見上げる。
七海はゆっくりと膝をつき、震える手での手を、そしてその小さなお腹を、壊れ物を扱うような手つきで包み込んだ。
「……。ああ、……そうですか。私の、子供が」
七海の瞳に、じわりと涙が浮かんだ。
灰原を失い、一度はすべてを捨てた男が。
愛する女を傷つけ、絶望の中にいた男が。
今、新しい命をその手に授かろうとしている。
「さん。……ありがとうございます。……私を選んでくれて、私を『父親』にしてくれて」
「建人さん……っ」
二人は家入がいることも忘れ、静かに抱き合った。
「はいはい、ご馳走様。……五条に言ったら大騒ぎになるから、今は内密にね。当分、は現場は禁止だよ。……いいか、七海。アンタ、の事死ぬ気で守りなよ」
「……言われるまでもありません」
七海はを抱きしめる腕に力を込めた。
クソみたいな呪術界。
理不尽に命が消えていく世界。
けれど、この腕の中にある温もりと、新しく灯った小さな命のためなら、何度でも地獄と戦える。
「一生、かけて幸せにします。……愛しています、さん」
窓の外には、あの日と同じ青い空が広がっていた。
けれど、今の二人が見上げる空は、希望という名の光に満ち溢れていたーー。