彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第1章 彼女は七海が幸せになってほしい
七海の卒業式の日。
桜の花びらが舞う校門の前で、は彼を待ち伏せた。
伊地知が隣で申し訳なさそうに俯く中現れた七海は、すでに呪術規定の制服を脱ぎ捨て、地味なスーツに身を包んでいた。
「……術師…辞めるって、本当なんですか」
の問いに、彼は一瞬だけ足を止めた。
「はい。……呪術師はクソだ。あの日、そう確信しましたから。これ以上、仲間の死体を積み上げるために生きるのは、御免です」
その言葉は、自分自身に言い聞かせているようにも聞こえた。
彼は一度もと目を合わせようとしなかった。
あの日、の熱に溺れ彼とは別人のような、事務的な態度。
「七海、先輩……。私とのことも、全部、なかったことにするんですか?」
絞り出した声が震える。
彼はようやく振り返るが、その表情は仮面のように固く、冷徹なものだった。
「……あの日、あなたに無体を働いたことは、一生をかけて悔やむでしょう。だからこそ、これ以上あなたをこの泥沼に引き止めるわけにはいかない。……さん。あなたは、どうか健やかでいてください」
それが、最後だった。
「さようなら」とも言わず、彼は背を向け、一般社会という名の喧騒の中へと消えていった。
空は、灰原を見送ったあの日と同じように、残酷なほど高く、晴れ渡っていたーー。
彼が去った後の高専は、ひどく広くて冷たい場所に感じられた。