第5章 愛を執り、染まる
私と宗四郎のことを知らないハルイチくんは、「消灯までなら……」と頷いた。私はニコッと微笑んでオペレーションルームに戻る。
歳上の女が"教えて欲しい"なんて言って迫るのは変だが、ハルイチくんは優しいからそっちでよかったのだろう。断らなかったのだから。
その日の仕事を終わらせて、宗四郎に"遅くなる"と連絡を入れる。ハルイチくんと駅で落ち会って、何駅か先の町でホテルに入った。
「ハルイチくん……男の人が溺れて離れられなくなるくらいのことを、覚えたい…」
「乃愛さん、俺……そんな経験あるわけじゃないですよ?慣れてそうって、思いました?」
お互いシャワーを浴びて、ベッドの上で向かい合う。困ったように笑ったハルイチくんは、そっと私の太腿に触れた。
「……消灯時間まで俺を何回イかせられますかね?……好きなように攻めてみてください」
耳元囁かれた柔らかい声。宗四郎みたいに尖ってはおらず、優しく少し掠れた春の風のようだった。そんなハルイチくんを押し倒し、焦らすように肌を撫で、少しずつ乱していく。
耳にキスをし少し舐めて、頬に何度も口付ける。そっと唇を重ねて、薄く開いた隙間に舌をゆっくり差し込んだ。
この人に触れることではなく、これからすることへの高揚感と、宗四郎ではない人と触れ合う背徳感に、胸を踊らせていた。
「……好きとか…言えます?嫌だったらいいんですけど……」
「ハルイチくん……好き。大好き。ハルイチくんは?」
こんな簡単に言える言葉を、どうして宗四郎にはなかなか言えないんだろう。一番伝えたい人には伝えられないもどかしさ、焦燥感…全てを忘れるように愛を囁き、服の中に忍び込ませた指で、女とは違う少し小ぶりな乳首を弾いた。
「っ……好きですよ…」