第4章 過ぐる追憶の反芻
ご飯を食べ終わると肩を抱かれ引き寄せられる。強引なのに、髪を撫でた手は優しかった。もうなんでもいいや、宗四郎の好きにして……頭の中は温かさに霞んで、ぬるま湯に逆上せている。
「みんな、聞いてや!!……僕の彼女」
あぁ、言っちゃうんだ……なんとなくそんな感じはしていたけど、どうせもう…修復なんて出来ないのに。こんな歪んだ関係を見たいなら、見ればいい。私がこの人に溺れている姿を__
刺さる視線を気にせず、目を閉じた。鼻腔を擽るのは汗に混じった爽やかな柔軟剤の香り。私と同じ匂い。私を包むのは、手放せない温度。
「よし、充電終わり。宗四郎、私戻るね」
「充電…?」
ぽかんとする宗四郎から離れて、空になった食器を片付ける。何もかもどうでもよくなって、全てを受け入れたら、宗四郎の全てが心地良かった。
「乃愛、待って。僕はまだ、充電終わっとらん」
すぐに追いかけてきた宗四郎が私の手を握る。指は絡められて、離さないと無言で圧を与えてくる。もう何年も一緒にいるのに、どうして触れられることに慣れないんだろう。
握られた手が湿っていき、指先が震える。離したいのに、絡んだ指が固くて、ほつれてくれない。そうやってあなたは私を繋いで、リードを伸ばし離れていく。私は噛み付く牙を持っていなかった。