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咫尺天涯 ―遠い恋―【保科宗四郎】

第4章 過ぐる追憶の反芻


「副隊長、少し休憩してください」

ひとり、訓練室に籠って刀を振る彼に声をかけた。オペレーションルームの大きなモニターに宗四郎が映し出される。そして、宗四郎の声が響くと、周りが不明瞭な音に包み込まれた。ヒソヒソと話している。

「乃愛……機嫌悪いん?」

トゲトゲとした私の声に違和感を持った宗四郎が、カメラに向かって首を傾げる。だから、こんなみんなが聞いてる中で、プライベートな雰囲気出すのはやめて。元はと言えば、私がイライラしているのが悪いんだが。

「あなたのせいなので、気にしないでください」

「いや、めっちゃ気にするやつ!」

クスクスと笑うと、通信は個人に切り替えられた。「僕、なにした?」とちょっと声色が悲しげだった。本当にわかってないんだろうか…あんなことをしていけば、どうなるかなんてわかっているはずなんだけど…。

耳につけたインカムから甘えるような声が聞こえてくる。私の名前を呼び、カメラを見て微笑む。みんなが見ていることはちゃんとわかってるよね?

どんなに浮気をされても、他で快感を知っても、心は戻ってしまう。あなたの声も笑顔も何もかも、私を縛って離さない。

「僕いま、乃愛がどんな顔しとるか知ってるで。真っ赤でドヤ顔やろ?ええんか?オペレーターやなくて、女の顔なって……」

「……切ります」

ブチッと通信を切った。呼び出しが鳴っても無視していると、オペレーションルームに甲高い声が響く。

「乃愛、怒らんで!もう揶揄わん、ごめん!」

「リーダー、副隊長の通信切ってください」

小此木に頼むと、彼女は戸惑いながら通信を切り、大きなモニターを別の部屋に切り替えた。震えながら大きく息を吐き出し、机に倒れ込む。顔、熱い……ほっぺの筋肉痛い……あの人、何したいのか全然わからない。
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