第4章 過ぐる追憶の反芻
次の日、宗四郎は私と一緒に通勤した。色々バレると思ったが、たまたま会ったと誤魔化せばいい。そう思っていた。
「おはようございます!」
「おう、おはようさん」
すれ違う隊員に私も挨拶すると、宗四郎は私の手を引いて廊下を歩く。こんなの…バレちゃう…。隊員にちらちらと見られていても、宗四郎は気にすることなくオペレーションルームに向かった。
オペレーションルームに着くと座った私を宗四郎は囲い込み、頬を擦り合わせる。
「ほな、また。……昼、迎えに来るから、待っといて」
リップ音を立てて頬に口付け、離れていく。何をしているの…?何も出来ず固まったまま、オペレーションルームから出ていく宗四郎の背中を見送った。
静まり返っていた部屋が、騒ぎ出す。どうしてくれるの、これ……爆弾を置いて行かないで。沈めるのは私なんだから。
「え、どういうことですか。先輩!」
「わ、わかんない……」
上手い言い訳が見つからず、宗四郎にされたことに顔が熱くなって、心臓が痛む。これ…これから大変になるぞ。本命は音芽ってことになってるのに、どうするのだろうか。
私は知らないから。私は言わなくていいって言ったのに、勝手にしたのはあなた。というか、職場恋愛なんて、誰にも知られたくないのに。既に宗四郎は特定の人物に報告していたけど。
「わかんないって……え、やっぱ先輩が本命……」
「し、知らないっ!宗四郎に聞いて!……あ」
後輩は「宗四郎?」とニヤニヤしていた。もういい、知らない。宗四郎が言っていたことは本当だった。私は結局、間違えて宗四郎と呼んでしまった。
もう全て、宗四郎のせいにしてしまえ。私の頭は既にキャパオーバーだった。