第4章 過ぐる追憶の反芻
隣で眠る宗四郎の寝顔を見ながら、ふと思い出した。昔はこんな風になれるなんて思っていなかった。さらさらな髪に指を通して軽く撫でる。へにゃっと笑うあなたを見て、胸が温かくなっていく。
戦闘員としてではなく、オペレーターとして入隊した私を見てあなたは、「これから、頼んだで」と笑った。その日から私はあなたばかりを見ている。
オペレーションルームに来る度に宗四郎は、「あげる」と私の机に飴やガム、クッキー等を置いていった。その日によって、種類も味も違う。近所のおばちゃん?と思いながらも、嬉しくてなかなか食べられなかったのを覚えている。
ある深夜、廊下を歩いていると、トレーニングルームから明かりが漏れているのに気付いた。覗いてみると、刀を持った宗四郎が、一心不乱に刀を振っていた。それはまるで――踊っているようだった。
刀を握るあなたの顔はいつも眩しくて、戦闘員になれずモヤモヤしていた私とは違う世界の人だと思った。惹き込まれて、いつの間にか目で追ってしまっている。
「副隊長って、彼女いるのかな?」
そう聞いたあの時の私を、音芽は嘲笑っていたのでしょう?
「いないよ。アピってみたら?」
こうなることを知っていて、提案したんじゃないの?そう思うと、彼女の思い通りになった今が悔しい。
目が合う回数が増えてきた頃、宗四郎の方から告白してくれた。ファーストキスも奪われて、私はただただ嬉しくて頷いていた。
「遊んでくるわ」
でも、私を待っていたのは、地獄のようなぬるま湯だった。浸されて、じわじわと温めされて、でも完全には温まらない。そんなもどかしくて苦しい日々。