第4章 過ぐる追憶の反芻
「僕の家のことは知っとるやろ?昔っから怪獣討伐しとる家系やって。刀の家系やって」
頷いた乃愛を見て、僕は話し始めた。乃愛が僕の全部を知りたいと言ってくれたから。
僕は産まれた時から兄貴と比べられ、いつも負けるのが悔しかった。何度も何度も兄貴に挑み、雑魚四郎と揶揄される日々。それでも刀を振ることは辞めなかった。
兄貴は刀だけではなく、銃器も扱える保科家の――完成形。対して僕は、保科家の中でも群を抜いての刀のスペシャリスト。銃器も扱えないことはない。だが、解放戦力は並の隊員以下。
銃器は何を言っとるんかわからん。外人みたいなもん。仲良くなれないタイプだった。対して刀は僕に応えてくれる。僕を成長させてくれる。
誰に何を言われても、刀を握って防衛隊員で在り続けた。そんな時、僕に手を差し伸べてくれたのが、亜白隊長だった。僕はあの人の為に道を切り開く。
「保科くん、だっけ?これからよろしくね」
そう言って話しかけてきたのが、音芽だった。音芽は僕の努力を知ってる。弱い僕を知っている。何もかもさらけ出せる相手だった。だから、過去のことも話した。
だけど、昔の僕を知らない乃愛には話せなかった。君の前では、強くて頼れる副隊長で在りたかったから。かっこよく在りたかったから。
音芽とは身体の相性というものがいいらしく、"1回だけ"をずるずると続けている。だけど、満たされるのは乃愛だけだった。あんな触れ方で僕は満たされていた。