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咫尺天涯 ―遠い恋―【保科宗四郎】

第3章 触れた逆鱗


眠ってしまった乃愛を見て、ゆっくり頬を撫でた。乃愛に触れる指先はいつも震えている。この子はそんなこと、気付いてないんやろな。

乃愛の太腿を拭いて、額に口付けた。あかんわ…こんな抱き方してもうたら、もう戻れへん。乃愛はこれから僕の愛に縛られて、裏切られて生きていくんや。

「ええ夢、見てな……乃愛…」

その後の言葉は飲み込んだ。いつか、言える日が来るだろうか。乃愛を傷付けるのは、僕だけでええ。後処理をし、僕も眠った。


乃愛よりも先に起きて、リビングに向かう。"あんなん"言われたら、黙っておけへん。死ぬ可能性が他より高いのはわかっている。でも、死ぬつもりもない。僕が乃愛に生かされているのは、もう随分と前から知っている。

スマホの連絡先を開き、呼び出しボタンを押す。あの人らのことや、何言うたか検討はついとる。コール音が切れた瞬間、僕はすぐに本題に入った。

「乃愛になに言うた」

相手は朝からなんなんだと機嫌が悪いが、悪びれる様子もなく話している。

「そうか。次は僕も行くから、乃愛に謝れや。幾ら親でも許せへん」

兄貴と僕の実家に行ったのは乃愛から聞いていた。親からの連絡もあったので、なんとなく気付いていた。でも、乃愛は何も言わなかった。何を言われたか、報告することもなく、平気なフリをして__。
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