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咫尺天涯 ―遠い恋―【保科宗四郎】

第3章 触れた逆鱗


就業時間が終わり、机の上を片付けていると副隊長がやって来て、「帰ろ」と私の手を握る。この人、隠す気ないよね?無理やり手を離れさせて、少し距離を取りながら基地を出た。

私との関係を隠さないと、自分の首を締めることになるのに……音芽が本命なら、私といたら変に思われてしまう。

「あの男に会った後に僕に抱かれるん、最高やない?」

どういうこと?あの男って誰……というか、誰とご飯食べるのよ。音芽じゃなかったの?教えてくれない副隊長は、機嫌良さげにニコニコ笑っていた。機嫌悪くなったり良くなったり、忙しい人だな…。

"私からキスした"から、だったらいいのに。

「前に拒まれたん、めっちゃショックやったんやで?」

もしかして……私と出来るから機嫌がいいの?そんな訳ないかと、自分で考えて悲しくなった。あの日、どうしていつものように、自分本位に抱かなかったのだろう。どうして私は、拒んだんだろう。

「あの時は、ごめんなさい…」

「ん?ええで。気分やない日もあるやろ」

受け入れる時はそういう気分だと思ってるの?疑問に思いながら前を歩く副隊長に、ただついていった。
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