第3章 触れた逆鱗
震える手でキーボードを打つ。あんなにドキドキしていたのに……書類を作り直していると、また副隊長が来て、私を呼ぶ。返事をして、オペレーションルームを出ていく副隊長を追いかけた。
「今日、飯食って帰ろ」
いや、バレたらどうする。本命にも勘違いされちゃうんじゃないの?というか、どうして私と一緒に住んでるんだろう。
どうやら、私と話したいという人がいて、その人と3人でご飯を食べる、ということらしい。音芽?嫌なんだけどな。
「わかりました」
自分でも驚く程、冷たい声だった。この人のことがなんにもわからない。
同棲してることも、未だに付き合ってることも、この人の過去も……何も教えてくれないから。私もわざわざ聞かないから。知りたいのに聞けない。
「なんで怒っとんの?食いに行くん、嫌なん?」
「いえ、すみません。行きます」
「……二人きりがよかったん?」
ふるふると首を振って、戻ってもいいと許可が出るのを待っていた。それなのに、「宗四郎」と呼ぶ声が聞こえて、心臓が嫌な音を立てた。この人を下の名前で呼ぶ人なんて、この基地にはいないはずなのに。