第2章 鏡の花、水面の月
シャワーを浴び終わってからも、ベッドで何度も触れるだけのキスをされて、キャパオーバー寸前。「慣れる為の練習」と言われて拒めなかった。
宗一郎さんが帰ってからスマホを確認する。何時間していたのだろう…もう少しでお昼だ。起きた時間がわからない。まだ震える腰を休ませるように横になる。
朝のメッセージは副隊長からだった。昨日も連絡が着ていたのに、今日まで?と疑問に思ったが開いてみる。"おはよう。大丈夫やった?"と着ていて、また首を傾げる。なんの話?
昨日、"誘われたけど断った"の話だろうか?嫉妬してる?とかそういうのかな…。"大丈夫です"と返信しておいた。
すると、すぐに着信が鳴る。今度はなに……と思いながら応答ボタンをスライドした。
「ほんまに大丈夫やった?なんもされてへん?」
焦り混じりの声が聞こえてきて、余計に訳がわからなくなる。なんの話をしてるの?
「……兄貴になんもされてへん?」
「え……あ…"君も遊んだらええで"って、言ってましたよね?」
どうして宗一郎さんとのことを知ってるのだろう。もしかして、宗一郎さんが言ったの?まあ、知られて特に困ることはないけど。彼氏の許可もあるし、副隊長が怒れる立場でもない。
受話器の向こうで、微かに息を呑む音が聞こえた。
「……したん?」
「報告する必要ってあります?副隊長だって、毎回は言ってませんよね?まあ、聞きたくもないですけど」
舌打ちが聞こえた気がした。なんで機嫌が悪くなってるの?副隊長にとってはどうでもいいことだと思うけど……お兄さんとしたのがいけなかった?さすがに兄弟とは避けた方がよかっただろうか…。
「すみません、配慮が足りてなかったです。宗一郎さんは嫌ですよね」
「宗一郎、さん…?」
どうかしたのだろうか…声が一段と低くなった。まあ、別れるのなら別れたらいい。気持ちがあっても疲れてしまっては、どうでもよかった。
何も喋らなくなったので、「切りますよ」と通話終了を押した。