第1章 泡の飛沫
「小此木ちゃん、どやった?僕、頑張ったやろ?」
たぶん身体の関係はないと思うけど、あの二人は仲が良い。小此木が副隊長の彼女だと言われても、違和感はないだろう。
「そうですね、お疲れ様です。これ、お願いします」
「全然労ってへんで、それ」
小此木は副隊長に書類の束を差し出した。私はいつも、遠くからあなたを見ているだけ。どんなに目線を外しても、いつの間にか真ん中にいる。
腫れて膿を溜める傷んだ胸を無視して、数多の活字を相手に目を使うことにした。どこにも行き場のないこの想いは、どこに捨てればいい?燻ることもせず飲み込まれていく言葉は、深い海の底に沈んだ。
「今日、晩飯頼むで」
大量の書類を抱えた副隊長は私の横を通り過ぎて、オペレーションルームを出ていった。冷たい声を私の心に落として。
さすがに連日はないか…と活字との睨めっこの最中に考えていた。今日はスーパーに行かないと。