第1章 泡の飛沫
オペレーションルームで静かに作業をしていると、後輩と小此木が話しかけてきて、大丈夫なのかと心配される。ほら、だから嫌だったんだ。
「大丈夫かって聞かれて、"大丈夫じゃない"って答えられる人って、どのくらいいるんだろうね。……なーんて、本当にどうでもいい」
「宇侍見さんって、何年も前から副隊長と付き合ってますよね?」
小此木の言葉に息が止まる。なんで知ってるの?亜白隊長も知っていたし、小此木にまで話してたの?後悔、してるんだろうな。自分で外堀を埋めて。それを私に言わないのも、変な話だよね。
ただ淡々と頷き、作業の手を進める。でも、スマホのメッセージの音が鳴り、慌てて電源を切る。確認することはせずに、就業時間が終わるまで、スマホは無視した。
終わってから確認すると、"夜、抱いてもええ?"とメッセージが着ている。どうして今日に限って、わざわざ聞くのだろう。
家に帰ってご飯の準備をしていると、副隊長も帰ってくる。出迎えることはしなかった。ほんの少しの抵抗。私がまだ怒っていることをわかって欲しかった。
腰を抱かれた瞬間、胸がざわつく。でも怒りの余韻で、少しも甘えたくない。
「どうなん、ええの?」
その声は、いつもの軽口に聞こえる。でも私には苛立ちにしか響かない。
「勝手にしてください」
本当は愛して欲しい。でも、弱さを悟られないように必死に強がる。胸の痛みも、手の震えも、あなたには知られたくない。本気の私を嘲笑うあなたには__。