第1章 泡の飛沫
みんなの中に戻れなくてずっと俯いていると、副隊長が声をかけてくる。
「どしたん?時間ないなってまうで。昼飯食い行こ?」
ほとぼりが冷めるまで、あまり近寄らないで欲しい。なんで私まで巻き込むの。
「私は今回の件に関係ないです。どうしてくれるんですか……みんなに会わせる顔がありません」
「ははっ、堂々としとったらええやん!」
堂々と出来るか!私は浮気相手か遊び相手だと思われてるんだから。いや、事実なのかな…。
「もう隊員は抱かんから……嫉妬せんで!」
嫉妬じゃない。呆れと巻き込まれたことへの怒り。「行こ」と手を握られて引かれる。このまま行ったら、絶対勘違いされる。解こうとしても、力が強すぎて離れなかった。
食堂に入り隣に座らせられて、ご飯を食べ始めた。視線が痛い……ヒソヒソ話している声が聞こえる。だから一緒にいたくないのに…私は静かに過ごしていたい。
"誰かは言うつもりはない"って…こんなの、言っているようなもの。私じゃないのに、どうしてこんなことをするの?どうして私をそんなに困らせたいの…孤立でもさせたいのだろうか。
箸を持つ手が震える。泣きたいのはいつもだった。彼が私にする仕打ちに耐えるのはもう嫌。
「もう…揶揄うのはやめてください。いろいろ面倒臭いので、やめて頂けませんか?疲れました」
食欲はもうなくなっていて、ほとんど食べられずに食堂を出た。本命ではないのにみんなにそう思われるのも、浮気されて可哀想だと思われるのも、何もかも嫌だった。私は別に平気だから、可哀想な子にしないで。