第1章 泡の飛沫
昼休憩になり、今日出勤している隊員が中庭に集められた。隊長も副隊長の近くにいる。副隊長は休憩の時間が短くなるから手短に終わらせる、と言っていた。
「僕の噂、もうみんな知っとると思うけど……僕と関係持った隊員は手ぇ挙げてくれ」
いや、え…?嘘でしょ、この中で手を挙げさせるの?それに…私はたぶん、今回の件に関係ないけど、挙げなきゃダメ?
周りを見ていると、2人の女性隊員が手を挙げていた。あ、意外と少ない……じゃなくて、嫌なものを見てしまった。彼氏の浮気相手なんて知りたくなかったな。
「足りひんな……宇侍見、お前もやろ。挙げや」
副隊長の視線が私に刺さる。いや、ほぼ全員のと言っても過言ではないだろう。隣にいた後輩が物凄く驚いた顔で見てくる。ごめん、副隊長に抱かれたいって言ってたよね…。
顔が熱くなる。渋々手を挙げた。顔を上げることが出来ない。
「こん中の1人が僕の本命で、2人は噂流した奴やな」
本命…誰?思わず他の2人を見てしまう。どっちだろう……。その選択肢に自分を入れられないのが、とても惨めに感じた。
「本人はわかっとるやろうけど……誰かは言うつもりはない。やから、みんなも詮索せんでな。今まで通り3人に接してくれ」
ニコッと笑った副隊長を最後にみんなが休憩へと入っていく。嫌だ…戻りたくない。絶対なにか言われる。詮索するなって言ったって、噂好きのみんなはするだろう。
2人のどっちかは、愛されてるんだ……。