第1章 泡の飛沫
腕を掴んでいた手が滑り落ちて、私の手を握る。隊長の前で何を考えているのだ。バレているから、仲良いところを見せたいのかな。
「すみません。僕の意識が足りてませんでした。以後、このようなことはないようします」
「事実なのか?事実なのであれば、それ相応の処分をしなければならない。もし違うのであれば、自分で収めろ。お前にも非はあるのだろう?」
「了。半分は事実ですが、半分は違います」
半分?私に説明もしないで、今回の噂を丸めて捨ててしまうの?説明する価値もない存在なの?どんなに疑問が渦巻いても、ただ私は二人の会話を聞いていた。
それに…"相手は選んでる"って言っていたけど、選んでこんなことになったの?
副隊長は私を引き寄せて腰を抱く。もう浮気はバレてるのに、どうしてそこまで良好だということを見せたいのだろう。
「今日いる隊員、全員を集めていいですか?」
淡々と話す副隊長に、何をするのだろうと疑問が生まれる。隊長は「昼休憩にしろ」と許可を出した。
「ありがとうございます。彼女と話があるので、連れて行ってもいいですか?」
嫌だ……絶対バレたことを怒られそう。私が言ったと思っているだろう。でも何も言えなくて、隊長に挨拶をして廊下に出た。