第1章 泡の飛沫
「嫌な噂があるが、大丈夫か?」
亜白隊長に書類を渡す為、隊長室に来ていた。突然そんなことを聞かれ、首を傾げる。"大丈夫か?"ってどういう意味だろう。
「副隊長ですか?大丈夫そうですけど……」
「保科ではない。火のないところに煙は立たない。一番不安なのは、宇侍見じゃないのか?」
もしかして……亜白隊長は私たちのことを知ってる?副隊長が言うとも思えない。だって、彼が言ったんだ、秘密にしようって。バレるような雰囲気も出していないと思うけど…副隊長に言っておこう。
「注意はしておきましたよ。同僚は控えてください、と…まあ、他も控えて欲しいですが」
「平気なのか?」
やっぱり知ってるんだ。亜白隊長の言葉で確信する。どうして知っているのかはわからないが、副隊長を呼ぼうとしたので慌てて止めた。けどもう…通信機で「来い」と命令していた。
少しして副隊長が隊長室に入ってくる。チラッと目線を向けた彼は、すぐに隊長に挨拶をした。「私はこれで…」とこの空間にいられなくなって、隊長室を出ようとした。
でも…副隊長に腕を掴まれて、隊長にも「待ってくれ」と引き止められる。隊長にバレてしまっているのだ、後で何か言われるかもしれない。だから、心の準備をして待っていたいのだが……それは叶わなかった。