第1章 泡の飛沫
朝ご飯の準備を終えてお風呂に入った。リビングに戻ってソファに座ると、私の膝は枕になる。副隊長は何ともない顔をしながらスマホを弄っていた。
ボーッとテレビを見ていると視線を感じて見てみるけど、細いその目はスマホに向いている。首を傾げながらまたテレビに目線を戻した。
テレビで流れるドラマでキスシーンを迎えた。なんだか少し恥ずかしい…副隊長はテレビを見ていないのに、私がされているわけでもないのに…副隊長にされたことを思い出してしまう。
無意識に膝の上の副隊長に目線がいってしまう。目が合って、心臓が跳ねた。なんでこっち見てるの…やっぱりさっきも見てたんだ。副隊長は目が合ったことに驚いたのか、目を見開いて、逸らそうとしたけど、諦めて見つめてくる。
私も逸らせなくなって、何故か見つめ合ってしまった。そのままでいると我慢出来ずに、同時に吹き出す。
「まさか、君が見てくる思わんくて……ふ、ははっ」
「私だって、目が合うなんて思わなかったです…ふふ」
こういう瞬間は、幸せだなって思う。嫌なことを忘れて笑い合えるから。だから――あなたを好きなまま。
一頻り笑って、胸の詰まりをほんの少し減らす。八重歯を見せて笑っていた副隊長は、瞳をこちらに向けた。笑みを浮かべたままその瞳を見ていると、手をついて少し身体を浮かせる。
唇が重なって、また離れていった。少し固まってしまったけど、彼を見ていられなくて、またテレビの画面に意識を集中させた。