• テキストサイズ

咫尺天涯 ―遠い恋―【保科宗四郎】

第1章 泡の飛沫


涙なんて、絶対に流さない。先に付き合おうと言ったのは副隊長だ。なのに、私だけが必死みたいになってしまう。関係に名前をつけたあなたが、それを貶さないで。

頭はモヤモヤするし、胸は痛い。膣内だって、副隊長のせいでずっと痛いのに、もうこれ以上、追い詰めないでよ。最近、下唇はずっと荒れたままだ。

「……私以外としないで…」

空気に溶けた言葉を掻き消すように立ち上がり、副隊長の着替えを準備しに向かう。いつも何かをしていないと、おかしくなってしまいそう。

着替えを脱衣所に置いてリビングに戻ってくると、テーブルに置いてある副隊長のスマホが光った。誰かからのメッセージのようだ。内容は見ないようにしたけど、その奥にある壁紙に目が行く。

私が撮った、夕日の写真。これ送ったのいつだっけ……確か、付き合ってからそんな経っていなかった気がする。ロック画面にする程、気に入ってたのかな。

「あ…朝ご飯……」

何かすることはないかなと考えて、朝ご飯の下準備をすることにした。私の頭の中にある、副隊長の割合を減らしたかった。でも、朝ご飯も副隊長が食べたい物はなんだろうと考えてしまう。

溜め息ばかりが増えて、詰まった胸を解放したかった。でも、何も変わらないの。手にした包丁をボーッと見つめてしまう程、あなたの目を私に向けたい。
/ 80ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp