第1章 泡の飛沫
涙なんて、絶対に流さない。先に付き合おうと言ったのは副隊長だ。なのに、私だけが必死みたいになってしまう。関係に名前をつけたあなたが、それを貶さないで。
頭はモヤモヤするし、胸は痛い。膣内だって、副隊長のせいでずっと痛いのに、もうこれ以上、追い詰めないでよ。最近、下唇はずっと荒れたままだ。
「……私以外としないで…」
空気に溶けた言葉を掻き消すように立ち上がり、副隊長の着替えを準備しに向かう。いつも何かをしていないと、おかしくなってしまいそう。
着替えを脱衣所に置いてリビングに戻ってくると、テーブルに置いてある副隊長のスマホが光った。誰かからのメッセージのようだ。内容は見ないようにしたけど、その奥にある壁紙に目が行く。
私が撮った、夕日の写真。これ送ったのいつだっけ……確か、付き合ってからそんな経っていなかった気がする。ロック画面にする程、気に入ってたのかな。
「あ…朝ご飯……」
何かすることはないかなと考えて、朝ご飯の下準備をすることにした。私の頭の中にある、副隊長の割合を減らしたかった。でも、朝ご飯も副隊長が食べたい物はなんだろうと考えてしまう。
溜め息ばかりが増えて、詰まった胸を解放したかった。でも、何も変わらないの。手にした包丁をボーッと見つめてしまう程、あなたの目を私に向けたい。