【チェンソーマン】先輩、私はそっちじゃない〈早川アキ〉
第2章 あなたの領域
「お前…ずっと俺を誘ってるだろ。
――いいぞ、答えてやる」
「え…ちょ、先輩?
なんで気付いて…というか、どうやって……」
ネクタイを捨て、靴下も乱暴に脱ぎ捨てた先輩は、私の背中に近付く。
心臓が痛い…どうして気付いたんだろう。
普通にしていたつもりなのに…。
私の手からシャワーを奪い取り止めて、給湯器に戻した。
先輩は私を、見下ろしている気がする。
見てはいないけど、視線を感じた。
背中に指を這わせ、スーッと下りていく。
「ッ…!せんぱ……」
声が出そうになってしまった。
先輩は何も言わずタオルを持ってきて肩に掛ける。
「嫌なら、ちゃんと言えよ。
お前、そのうち襲われるぞ」
嫌だったわけじゃない。
ただ…恥ずかしかったのと、驚きで動けなかっただけ。
本当にされるかと思った…先輩の冗談、わかりにくい。
先輩は軽く指で髪を撫で、浴室を出ていった。
給湯器の止まった後の余韻と、自身の速くなった鼓動だけが浴室に響く。
先輩、苦しいです。
この想いはもう……加速していくだけ__。