【チェンソーマン】先輩、私はそっちじゃない〈早川アキ〉
第2章 あなたの領域
バディと関係を続けて1年近く過ぎた。
そして昨日、バディは私を置いて逝った。
動けなかった私を庇って……。
「キス、したかったなぁ…」
と笑うバディに私は、唇を重ねた。
バディは笑ったまま幸せそうに目を瞑り、また開くことはなかった。
本部で早川先輩に声をかけられても、ボーッとしたまま返事を出来なかった。
先輩が私の手を引いていく。
連れて来られた場所は、先輩の家だった。
リビングまで連れられて、「待ってろ」と座らせられる。
すぐに戻ってきた先輩は隣に座って、私の身体を引き寄せた。
抱き締められても、今はドキドキ出来ない。
頬に触れた手が私の顔を上げる。
唇が重なって、ゆっくり後ろに倒された。
先輩の腕が枕になり、唇を離して見つめてくる。
私の目は何処かを向いていた。
「泣けばいい。
初めてだろ、バディが死ぬの」
キスをされたのに、何も感じなかった。
私…先輩のこと、もう好きじゃないのかな……。
「………こんな初めて、いらなかった。
セックスの気持ちよさも、初めてキスをしたのも…
殺伐としたこの世界を気楽に生きる為の術も、教えてくれたのに…」
「……そうだな」
先輩は優しく瞼にキスをして、髪を撫でた。