【チェンソーマン】先輩、私はそっちじゃない〈早川アキ〉
第2章 あなたの領域
眠れないまま先輩のベッドで夜を明かす。
帰ろうと思っていたのに、痛みで動けなかった。
もう、次はないだろうな。
先輩の言葉に背いたから。
隣で寝ている先輩を起こさないように、ゆっくりベッドから降りる。
動く度にズキンっと、先輩に抱かれた事実を知らせてくる。
制服はまだ乾いていないだろうけど、そのまま着て帰ろう。
家に帰って干せばいい。
「ッ!いっ……ごめんなさ…」
「まだ帰らなくていい。
どうせ今日は着ていけない。
俺のを着ろ」
いきなり腕を引かれて、ベッドに背中から倒れる。
いや…先輩の胸に倒れた。
痛みが走り、口に出してしまったことを謝ったが、先輩は気にしていなかった。
腕の中に閉じ込められたまま返事をし、異常な鼓動を沈めようとする。
「せ、先輩……先輩の制服、おっきいです…」
「ん、大丈夫だろ」
大丈夫じゃない……私の心臓が。
慣れてるな、事後の女の扱い方。
私じゃない誰かは、優しく丁寧に抱かれて、こんな風に優しい余韻に包まれているんだろうな。
チクッとした胸の痛みを忘れるように、目を閉じた。