【チェンソーマン】先輩、私はそっちじゃない〈早川アキ〉
第2章 あなたの領域
「ッ、はっ…はぁ……せんぱ、あッ…」
「喋るな」
私に触れる先輩の声は冷たくて、表情も冷たかった。
この人は…誰の前だと、その表情を崩すのだろう。
先輩の匂いがするベッドの上で、先輩が私を見ている。
自身を挿れやすくする為にする作業を、先輩は淡々としていた。
自分ですればよかった。
そしたら先輩は、こんな面倒臭いことをしないで済んだのに。
腕で口を押さえ、必死に声が漏れないようにした。
先輩は私の声を聞きたくないみたいだから。
でも、本当は優しい人。
面倒臭いなら、始めから、裂いてしまえばいい。
言葉はなくて…先輩は四角い包装を裂いた。
捩じ込まれた痛みが、頭のてっぺんまで貫いた。
涙は流せない、痛いとも言えない。
ただ、私の上で震えた息を吐く、美しい先輩を見つめた。
その藍色の瞳は私を……見ていない。