第5章 誰にも言えない甘い刻印
「お前が倒れて救急搬送された時、付き添ってたのはお前の両親だ。……俺は、爆豪が救出されたことをいち早くお前に伝えたくて電話した。そしたらおばさんが出て……お前が運ばれたって聞いて、いてもたってもいられなくてな」
「お父さんとお母さん……心配、かけてるよね」
「ああ。病院に着いた時、二人は酷く焦燥してた。だから、俺が代わるから休んでくれって言って、無理やり帰した。……今は、俺がここにいるから大丈夫だ」
轟の言葉には胸の奥がギュッとなるのを感じた。
自分のために、彼がそこまで動いてくれていたことに。
「……爆豪くんは?」
「……救出された。無事だ。今は保護されてる」
「っ……よかった……本当によかった……」
の目から、安堵の涙がこぼれ落ちる。
前世で自分の目の前で命を落とした彼が、今世では救われた。
その事実だけで、心が少しだけ軽くなった気がした。
「……オールマイトが、ヴィランを倒したと引き換えに……力を使い果たして、引退した」
「え……?」
「ヴィランは捕まった。今は特殊な拘置所に移送されてるはずだ」
一気に押し寄せた情報にの頭は真っ白になった。
最悪の敵が捕まったことへの安堵。
けれど、そのために平和の象徴が失われた喪失感。
「……捕まったのね。あの男が……」
「ああ。だから、もう怯えなくていい」
轟は強くを抱き寄せた。
AFOが捕まったことに心底安心している彼女を見て、轟は確信していた。
前世のことは知らないが、彼女を怯えさせていた元凶はもう消えたのだと。
(……爆豪も無事だ。あいつは捕まった。……これで、は俺だけを見てくれるはずだ)
は轟の胸に顔を埋めながら、AFOが捕まったことに安堵していた。
けれど、同時に不安も消えない。
前世の記憶が戻ってしまってる今、爆豪を、そして目の前の轟を、自分はどう見ていけばいいのか……。