第5章 誰にも言えない甘い刻印
窓の外が白み始め鳥の声が響き始めた頃、の両親が慌ただしく病室に駆け込んできた。
「! 大丈夫なの? 顔色は……ああ、昨日よりはずっといいわね」
「本当に、心配したんだぞ。急に倒れて……」
母がの肩を抱き、父が後ろから安堵の溜息を吐く。は内心昨夜このベッドの上で繰り広げられた激しい情事を思い出し、心臓が跳ねるのを感じた。
「……ごめんね、お父さん、お母さん。ちょっと疲れが出ちゃったみたいで……。もう、なんともないから」
「そう? ならいいんだけど……。焦凍くん、一晩中付き添ってくれたのね。本当にありがとう。君がいなかったら、私たちどうなっていたか」
父が深々と頭を下げるとパイプ椅子に座っていた轟は、少しだけ居心地が悪そうに立ち上がった。
「いえ……俺が好きでいたんです。礼をされるようなことじゃありません」
轟のその言葉は、単なる「幼馴染」の枠を超えた響きを持っていたが、両親はそれを彼の昔からの過保護な性格ゆえだと思い、微笑ましそうに見守るだけだった。
「本当に、相変わらずには甘いのねぇ。焦凍くん、少しは休まないと」
「……そうですね。じゃあ、俺は一度戻ります」
轟は帰り際、の耳元でだけ聞こえるような低い声で、「また連絡する」と告げた。
その瞳に宿る熱い独占欲に、は小さく頷くことしかできなかった。