第5章 誰にも言えない甘い刻印
「……焦凍くん。……どうして、そんなに私のこと、……大切にしてくれるの?」
震える声で尋ねると轟は不思議そうに、けれど断定的に答えた。
「理由なんてねえよ。昔からお前が隣にいて、俺を支えてくれた。それだけで、俺がお前を愛し抜く理由は十分だろ」
「……でも、私……昔の、前世のことにずっと縛られてて……っ」
「前世がどうであれ、俺には関係ねえ」
轟はの頬を両手で包み込み、真っ直ぐに彼女の瞳を射抜いた。
「お前が昔、誰を好きだったかなんて知るか。……今、お前の隣にいて、こうしてお前を抱いてるのは、俺だ。……それじゃ、不満か?」
「……っ、……ふまん、じゃない、……けど……」
あまりにも揺るぎない今の彼の愛には戸惑い、熱い涙を零す。
目の前にいるのは、誰よりも自分を必要としてくれる「轟焦凍」という一人の少年。
これからどう向き合えばいいのか、の心は過去と現在の間で、激しく千々に乱れていった。
シーツの乱れを整え、少しだけ熱の冷めた空気が病室に流れる。
轟はを落ち着かせるように隣に座った。
「……少しは、落ち着いたか」
「うん……ごめんね、焦凍くん。……色々、取り乱しちゃって」
が俯きながら答えると、轟は彼女の細い指を自分の大きな掌で包み込んだ。
「……いい。それより、お前が倒れてからのことを話しておく」
轟は、自分でも驚くほど冷静な声で、怒涛のように過ぎ去ったこの数時間の出来事を整理し始めた。