第1章 灰色の雨と、血の誓い
は彼との突然の再会に動揺しながらも、目の前の体育祭に、気持ちを無理矢理切り替えた。
控室に向かって歩いてると、同じクラスの心操人使の背中を見つけ声をかけた。
「心操くん、おはよ。……今日は頑張ってね」
心操は少し眠たげな目を向け、ふんと鼻を鳴らす。
「……ああ。随分と呑気なもんだな。まぁ、お前はお祭り気分で走ればいいんだろ」
「そんなことないよ。私は、心操くんがヒーロー科に編入できるように、ずっと応援してるから」
の言葉は本心だった。
けれど、その純粋な応援が、かえって彼の逆鱗に触れてしまう。
心操は立ち止まり、を冷めた目で見下ろした。
「……応援、ね。お前さ、リカバリーガールの孫だろ。個性だって、そのまんま『癒やし』の類だ。……ヒーロー科なんて余裕で狙えたはずなのに、なんで普通科(こっち)にいんの?」
「それは……私は、ただ……」
「持ってる奴はいいよな。……俺みたいにヒーロー不向きな個性で足掻いてる奴からすれば、お前みたいなのは……正直、見ててイラつくんだよ」
吐き捨てられた言葉に、の胸がチクリと痛む。
(……ごめんね。私は、もう……大切な人が傷つくのを、ただ見てるしかできないのが、怖いだけなんだ……)
前世の、あの血生臭い光景が脳裏をよぎる。
けれど、それを彼に話す術はない。
「……ごめんね、心操くん。……行こう。怪我しないように、気をつけてね」
は力なく微笑み、彼を追い越して全生徒が集結するフィールドへと向かった。