第4章 剥落する日常、目覚める傷痕
「ちょっと! 今の三人組、何!? 特にあの、紅白の髪の彼!……信じられないくらいのイケメンじゃん!」
轟たちが店を出た瞬間、バックヤードで一緒にシフトに入っていた同僚が、目を輝かせて詰め寄ってきた。
「あ、えっと……昔からの知り合いで……」
「知り合い!? を見るあの甘ーい目つきで!? 正直に言いなさいよ、あの中で誰が彼氏なの? やっぱりあのクールなイケメン?」
「違うってば! みんな、ただの友達だから……っ」
は顔を赤くして弁明したが、同僚たちは聞く耳を持たない。
それどころか、バイト終わりの着替え中も轟のイケメンっぷりに女子トークは大フィーバー。
はロッカーの前で小さくなりながら、居たたまれない気持ちで着替えを済ませた。
「お疲れ様でした……」
逃げるように店の裏口から外へ出ると、夜の生暖かい風と共に、見覚えのある影が壁に寄りかかっているのが見えた。
「――。終わったか」
「焦凍くん!? まだいたの?」
そこには、先ほど帰ったはずの轟が一人で待っていた。
「ああ。お前の上がる時間を逆算したら、ちょうどいいと思ってな。……暗いし、一緒に帰ろうと思って」
当然のように言う轟に、が固まっていると、後ろから出てきた同僚たちが「ひゃっ!」と短い悲鳴を上げた。
「ちょっと! やっぱり待ってたんじゃない! もう、どこが『ただの友達』よ!」
「ほら、さっさと行きなさいよ、カレシ様が待ってるんだから!」
「ち、違うから! 幼馴染! 幼馴染だってば!!」
背中を押され、捲し立てられながら、は赤い顔で何度も「幼馴染」を強調して弁明した。
しかし、当の轟は否定するどころか、少し誇らしげにの隣に立ち、軽く会釈をしてを連れて帰る。