第3章 黎明の夢、夕暮れの再会
「……ぁ……っ」
は、自分の唇に指を当てて飛び起きた。
夢の中の「呪い」の感触が、あまりにも鮮明に熱を持って残っている。
(駆藤くん……。あの時、私は……)
今世の轟からのキスと、前世での自分のキス。
時代を超えて交差する熱情に、は呼吸を乱しながら朝日を見つめた。
眩い朝の光が差し込む部屋で、夢を思い出しているとスマホからメッセージの着信の音がした。
『無事に退院した。職場体験に復帰する。心配かけた。また連絡する』
短く、いかにも彼らしい実直なメッセージ。
それでも、文字の向こうに轟の生存と無事を感じて、は肺に溜まっていた熱い空気をようやく吐き出した。
(よかった……。本当に、よかった……)
夢の中で見た駆藤の血の色と、現実の轟の負傷が重なって、この数日は生きた心地がしなかった。
けれど、彼は無事に帰ってきてくれる。
数日後。
職場体験の全日程が終了した日の夕暮れ。
が家の前まで来ると、そこには見覚えのある、けれど少しだけ以前より精悍になった背中が立っていた。
「……焦凍くん!」
声に反応して振り返った轟の左腕には、まだ白い包帯が巻かれている。
けれど、その足取りは力強く、を見つけた瞬間にオッドアイが柔らかく細められた。
「。ただいま。……約束通り、真っ先に顔を見せに来た」
「……っ!」
轟の穏やかな声を聞いた瞬間、の胸の奥で堰き止めていた感情が決壊した。
考えるより先に足が動いていた。
は駆け寄り、轟の胸に思い切り飛び込んだ。