第3章 黎明の夢、夕暮れの再会
窓の外が、濃紺から淡い灰色へと溶け出していく黎明。
静寂に包まれた病室で、みのりは彼の右手を両手で包み込んだまま、声を殺して泣き続けていた。
不意に、繋いでいた大きな手に、確かな力がこもった。
「……みのり……」
掠れた、けれど聞き間違えるはずのない低い声。
みのりが顔を上げると、酸素マスクの向こうで駆藤がゆっくりと目蓋を持ち上げ、彼女を見つめていた。
「……駆藤、さん……! あ、先生を呼んで……」
「いい……。それより、済まなかった。……また、お前にこんな顔をさせたな」
力なく笑おうとするその言葉に、みのりの中で張り詰めていた糸が、音を立てて弾け飛んだ。
「……何が『済まなかった』ですか……! 本当に、バカじゃないんですか……!?」
「みのり……?」
「完治もしてないのに無茶をして、死にそうになって……! 自分の命を何だと思ってるんですか!? 皆の希望だ、リーダーだなんて言って、その実、自分を一番粗末にしてるのは貴方じゃないですか!!」
みのりは繋いだ手を離さず、怒りと悲しみの混じった激情を彼にぶつけた。
駆藤は反論することなく、ただ彼女の激しい震えを受け止めている。
「……お前の言う通りだ。だが、俺は――」
「私は、貴方が好きなの!!」
叫びのような告白に、駆藤の目が見開かれた。
「……レジスタンスのリーダーとしてじゃなくて、一人の男として……貴方が、貴方がいなきゃ嫌なんです……! 貴方がいない世界で、私にどうやって生きろって言うんですか……っ」
「……気づいてはいた。だが、俺は戦うことしかできん男だ。お前のような真っ当な女を、血生臭い道に連れていくわけにはいかない」