第3章 黎明の夢、夕暮れの再会
そんな風に言葉を交わして別れてから数日。
放課後の下校中、は一人で歩きながら、隣に誰もいない寂しさを噛み締めていた。
そんな感傷に浸っていた夜。
テレビから流れてきたニュースが、彼女の心臓を跳ね上がらせた。
『本日夜、保須市にて大規模な火災とヴィランによる襲撃事件が発生。ヒーロー殺しとされる男が確保されましたが、現場には数人のヒーロー候補生も……』
「……保須市!? 焦凍くん、確か……」
は震える手でスマートフォンを握りしめた。
轟からパトロールで保須の方へ行く、と今朝連絡があったからだ。
メッセージを送るべきか、けれど実習の最中なら邪魔になるかもしれない。
結局、一睡もできないまま夜を明かした。
翌日の午前中。
画面に表示された『焦凍くん』の文字に、は弾かれるように通話ボタンを押した。
「もしもし! 焦凍くん!? 大丈夫なの!? ニュースで保須のこと見て、私……っ」
『……か。悪い、心配かけたな』
受話器の向こうから聞こえてきたのは、少し疲れてはいるが、いつも通りの穏やかな声だった。
彼女は安堵で膝から崩れ落ちそうになる。
「……よかった…。今、どこにいるの?」
『保須の病院だ。少し怪我をしてな、大事を取って入院してる』
「入院!? やっぱり酷い怪我なんじゃない! すぐに、すぐに行くから……っ」
『待て、落ち着け。……腕の裂傷と、ちょっとした打撲だ。本当に大したことはねえよ。飯も普通に食えてるし、飯田や緑谷も一緒だ』
焦凍は、彼女を安心させるように努めて明るいトーンで話してくれた。
「……本当に、大丈夫なのね?」
『ああ。……お前の声を聞いたら、もっと元気になった。……心配かけて悪かったな』
「……ううん。焦凍くんが無事なら、それでいいの。……本当は今すぐ飛んでいきたいけど、我慢するね。その代わり、帰ってきたら絶対、顔見せてね」
『ああ。……約束する。すぐに帰るから、待っててくれ』
電話を切った後、は静かな部屋で深く息を吐いた。
声が聞けたことで安心はした。
けれど、かつての「駆藤」が戦場で傷つき、血塗れで自分の前に現れたあの日の記憶が、どうしても脳裏をよぎってしまう。
(……もう、誰かを失うのは嫌……。早く帰ってきて、焦凍くん……)