第3章 黎明の夢、夕暮れの再会
「ちょっと! 体育祭の後って、あのボロボロだった時に告白したの!? 情熱的すぎるわ轟!」
芦戸が身悶えしながら机を叩く。
「轟くん、意外と攻めるタイプなんだね……。で、返事は? 返事はどうだったの!?」
葉隠の声に、教室中の注目が集まる。
「……『ゆっくり考えてくれ』って言ってある。今はまだ、あいつの中に整理しきれてないこともあるみたいだからな。……それでも、俺は諦めるつもりはねえよ」
「うおおお! カッコよすぎるぜ轟! 応援してるぞ!」
「くそっ、この天然タラシめ! 爆発しろ!」
男子たちからの茶化しと熱い応援が飛び交う中、轟は少しだけ照れくさそうに口元を緩めた。
その微笑みを見た女子たちは、再び「今の見た!?」「破壊力がすごい……」と小声で騒ぎ出す。
「……轟くん、本当に変わったわね。すごく、いい顔してるわ」
蛙吹の言葉に、クラス全員が深く頷いた。
そんな喧騒の端、爆豪だけがガタンと椅子を鳴らして立ち上がった。
「……チッ、どいつもこいつも、浮ついてんじゃねぇよ。ヘラヘラした面してんなら、今すぐぶち殺すぞ」
凄まじい殺気を放ちながら教室を出ていこうとする爆豪。
だが、その足取りはどこか落ち着かない。
爆豪の耳には、先ほど轟が言った「あいつの中に整理しきれてないこと」という言葉が、嫌なノイズのようにこびりついて離れなかった。
無意識に、一昨日校舎裏で聞いた「みのり」という名前と、の震える声が脳裏をよぎる。
爆豪はそれを振り払うように、激しくドアを閉めて廊下へと消えていった。
食堂での一件以来、の周りでも「轟との仲」は公認の事実となっていた。
もっとも、幼少期から轟がを特別扱いしている様子を知ってるたちは、「ようやく自覚したのね」と呆れ半分、応援半分のスタンスで、意外にもは穏やかな日々を送っていた。
けれど、そんな日常に少しだけ穴が空いたような寂しさが訪れる。
「、明日から職場体験だ。……しばらく、迎えに来れなくなる」
「うん、わかってるよ。焦凍くんこそ、お父さんの事務所に行くんでしょ? 大丈夫?」
「ああ。……今さら、親父に何を言われても揺らがねえよ。お前に良い報告ができるように、しっかりやってくる」