第3章 黎明の夢、夕暮れの再会
一方、その光景を遠くの席から眺めていたA組の面々は、箸を止めて呆然としていた。
「……おい、あれ、本当に轟か?」
上鳴が、口からポテトを落としそうになりながら呟く。
「……あんな幸せそうな顔、初めて見たわ……。なんか、後光が差してねーか?」
瀬呂も引き気味に同意する。
「……片思い、だと……。あの轟くんをそこまで狂わせる女子生徒がいるとは……恐るべし…」
葉隠や芦戸も、驚きと興味が混ざった表情で二人を見つめていた。
爆豪だけが「ケッ、反吐が出るぜ」と毒づきながら、猛烈な勢いで辛口カレーを口に運んでいたが、その視線は一瞬だけ、幸せそうに微笑む轟と、顔を真っ赤にしているの方へと向けられ、すぐに忌々しそうに逸らされた。
の心の中では、今も駆藤の影が消えたわけではない。
けれど、こうして「今」を全力でぶつけてくる轟の熱を、彼女は確かに感じていた。
食堂での「公開告白」からようやく嵐が去ったかと思いきや、と別れてA組の教室に戻った轟を待っていたのは、さらに激しい第二陣の嵐だった。
「おい、轟! ちょっとこっち来い!」
「轟さん! 先ほどのお話、詳しく伺ってもよろしいかしら!?」
教室に入るなり、切島や上鳴、さらには八百万や芦戸といった面々に包囲される。
轟は相変わらずのポーカーフェイスだが、どこか吹っ切れたような穏やかな空気を纏ったまま、自分の席に座った。
「……なんだ、騒がしいな」
「騒がしいのはお前だろ! 聞いたぞ、食堂で普通科の子に『片思い』宣言したって!」
上鳴が肩を組みながら、ニヤニヤと顔を近づける。
「ああ、事実だ」
「さらっと認めたよこのイケメン……! 相手は幼馴染なんだろ? 昔から好きだったのか?」
切島の問いに、轟は窓の外の空をふっと思い出すように見つめた。
「……物心ついた時から、隣にいた。親父のことで荒んでた時期も、あいつだけは普通に接してくれたんだ。……この間の体育祭の後、ちゃんと好きだと伝えた」
教室に「キャーッ!!」という女子たちの黄色い悲鳴が響き渡った。