第2章 硝煙の戦場と、夕暮れの公園
「おっ、! おはよー!」
朝、教室のドアを開けた瞬間、待ち構えていたかのような女子たちの声が飛んできた。
が「おはよう」と返す間もなく、友人たちがニヤニヤしながら取り囲んでくる。
「ちょっとちょっと!一昨日の体育祭のあと、見たよ!轟くんに手を引かれて帰ってったでしょ」
「しかも、泣いてなかった!? あのあと何があったのよ、詳しく白状しなさい!」
いつもの揶揄い。
昨日までなら幼馴染であることを盾にして、さらりと流せていたはずだった。
けれど。
(……っ、公園での……あの、キス……)
脳裏に、夕暮れの中で感じた轟の熱い体温と、柔らかい唇の感触が鮮明に蘇る。
考えただけで、顔がカッと火を吹いたように熱くなった。
「あららー? 、顔真っ赤じゃない!」
「えっ、違う、これは……!」
「なになに、図星? ついに告白でもされちゃった?」
「違うってば! そういうのじゃなくて……ただ、その……」
「ただ、何?」
友人たちの追求に、は言葉に詰まる。
「告白された」どころか、さらにその先の、口付けまでされたなんて、逆立ちしても言えるわけがない。
「もう! 本当に何でもないから! 焦凍くんとは、ずっと昔から一緒にいるだけで……」
「でも、その焦凍くんの話しをしてるの顔、今は全然『幼馴染』じゃないよ?」
「……っ、そんなこと……!」
心拍数が上がり、呼吸が浅くなる。
自分でも制御できないほどの赤面に、クラスの盛り上がりは最高潮に達してしまった。
「ひゅーひゅー!に春が来たねぇ!」
「だから違うってば! もう、みんな席に戻って!」
必死に弁明しながらも、の手は無意識に自分の唇を隠すように覆っていた。
(……焦凍くんのバカ。……あんなことするから、普通にできないじゃない……!)
弁明すればするほど墓穴を掘っている自覚はあったが、今のには、真っ赤な顔を晒してうつむくことしかできなかった。