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愛を教えてくれた君と 【ヒロアカ R18】

第2章 硝煙の戦場と、夕暮れの公園


「……っ」

は、自分の手のひらに残る熱い感触と共に目を覚ました。
夢の中で握っていた駆藤の手。

(……あの時、私は彼を追いかける道を選んだ。……何度生まれ変わっても、私は……)

爆豪勝己という少年の放つ熱風が、どうしてもあの日の駆藤が纏っていた覇気と重なってしまう。
たとえ、彼がすべてを忘れていたとしても。


「……おはよう、駆藤くん……」


は鏡に映る自分を見つめ、前世から続く消えない火傷のような恋心を、そっと胸の奥に閉じ込めた。


今日は、轟と一緒に、彼のお母さんに会いに行く日だ。
過去と、現在の間で揺れながら、長い一日が始まろうとしていたーー。





体育祭の熱狂が嘘のように静まり返った、翌日の午前中。
は約束通り、轟と一緒に彼の母親が入院している病院を訪れていた。
病室が近づくにつれ、隣を歩く轟の歩幅がわずかに狭まり、拳が固く握られているのをは見逃さなかった。
病室のプレートには「轟」の文字。


「……焦凍くん、大丈夫だよ」

はそっと彼の腕に触れた。
轟は深く、一度だけ息を吐き出すと、少しだけ強張った顔で彼女を見つめた。

「……ああ。……情けねえな、試合の時より緊張してる」

「それだけ、焦凍くんにとってお母さんが大切だってことでしょ? 行ってらっしゃい。私はあっちのロビーで待ってるから」

「……悪い。すぐ戻る」

が笑顔で頷くと、轟は意を決したようにドアに手をかけ、中へと消えていった。





ロビーのベンチに座り、中庭の木々を眺めながら、は朝方の夢のことをぼんやりと考えていると、バタバタと足音が近づいてきた。
顔を上げると、少し上気した顔の轟がそこにいた。

「、悪い。……母さんが、お前にも会いたいって言ってるんだ」

「えっ、私も!? でも、お邪魔じゃないかな……」

「そんなことねえよ。お前の話をした途端、顔色が明るくなったんだ。……来てくれ」

轟に手を引かれるまま、は再び病室へと向かった。


「……失礼します。」

扉を開けると、窓際のベッドに座った一人の女性が、柔らかな微笑みを浮かべてこちらを見ていた。
冷は、が記憶しているよりもずっと穏やかで、美しい瞳をしていた。




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