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愛を教えてくれた君と 【ヒロアカ R18】

第2章 硝煙の戦場と、夕暮れの公園


「……彼に、助けてもらえたから。大丈夫、怪我はないわ」

みのりがそう答えると、駆藤は役目を終えたと言わんばかりに短く頷き、踵を返そうとした。

「あの、待ってください……! 助けていただいて、本当にありがとうございました!……お名前を伺っても?」

呼びかける声に、駆藤は肩越しに一度だけ視線を戻した。

「……駆藤だ……礼には及ばん。残党がまだいる、気をつけろ」


そのぶっきらぼうで、けれど底知れぬ信頼を感じさせる背中を見送りながら、みのりの胸には言いようのない熱い感情が刻み込まれていた。




それから数日。
病院は瓦礫の山と化しながらも、みのりたちは不眠不休で働き続けていた。
ある日の夕刻、通信機から悲痛な叫びが上がる。


「至急、西街区の廃墟ビルへ! レジスタンスの部隊が負傷者多数!」


みのりは数人の同僚と共に、医療バッグを掴んで現場へと飛び出した。
現場は地獄だった。
至る所に硝煙が立ち込め、コンクリートの隙間からはレジスタンスの戦士たちが呻き声を上げている。

「しっかりして! 今、止血しますから!」

必死に応急処置を繰り返す中、みのりの鼻腔をひときわ濃い血の匂いが突いた。
嫌な予感に突き動かされ、崩れかけた壁の裏側へと回る。
そこには、赤黒い血溜まりの中に、壁に背を預けて静かに座り込む男がいた。


「……駆藤、さん……!?」

絶句した。
先日、あんなにも圧倒的な力を見せていた男が、今は腹部に深い裂傷を負い、その手は真っ赤に染まっている。
それでも彼は声を上げず、ただ静かに傷口を圧迫して耐えていた。

「………他を、当たれ。俺は、後だ」

「何言ってるんですか! こんな酷い怪我、放っておけるわけないでしょう!」

みのりは膝をつき、震える手で処置を始めた。
衣服を切り裂くと、そこには内臓を掠めかねないほどの深い傷口。
彼女は泣きそうになるのを堪え、必死に滅菌ガーゼを押し当てる。

「どうして、すぐに助けを呼ばなかったんですか! 周りにはあんなに仲間の人たちがいたのに!」

「……リーダーが、騒ぎ立てて……戦意を、削ぐわけには……いかん。それより、あっちの……若い奴を……」

掠れた声で、なおも他人の心配をする駆藤に、みのりの我慢は限界に達した。


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