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愛を教えてくれた君と 【ヒロアカ R18】

第1章 灰色の雨と、血の誓い


カーテンを閉め切った保健室。
轟のそばにいたかったが、祖母が「もう行きな」と声をかけてきた。

「、ここはもう大丈夫だよ。決勝戦の後の片付けもあるし、あんたは表彰式が始まる前に席に戻りなさい」

「……うん。わかった、おばあちゃん」

最後にもう一度、眠る轟の手をそっと握ってから、は保健室を後にした。



スタジアムに戻り表彰式が始まると、そこには異様な光景が広がっていた。
表彰台の一位。
爆豪は手足どころか顔まで拘束具で固められ、獣のように唸っている。
納得のいかない勝利への怒り。
その凄まじい執念を目の当たりにして、の胸は締め付けられた。


(あんなに怒るなんて……。駆藤くんも、一度だけ、自分の守りたかったものが守れなかった時……あんな風に、自分を呪うような顔をしていた……彼を、与一くんを目の前で失った時……)


表彰式が終わり、ホームルームが済まされる。
クラスメイトたちが「お疲れ様!」と声を掛け合いながら帰路につく中、だけは逆方向へ足を進めていた。


(……一言だけでも、話したい。もう一度、確認したいの。本当に、全部忘れちゃったのか……)

ヒーロー科の教室へ続く廊下。
角を曲がったところで、ちょうど向こうから歩いてくる爆豪の姿を見つけた。
首元の拘束具は外されているが、その表情にはまだ隠しきれない苛立ちが渦巻いている。

「あ……爆豪、くん」

の姿を認めるなり、爆豪は足を止めず、鋭い三白眼で彼女を射抜いた。

「……あ? 誰だテメェ。……朝の気色悪い女か。どけ、邪魔だ」

氷のように冷たい声。
けれど、の唇は勝手に動いていた。

「……駆藤くん」

「……はぁ?」

爆豪が足を止める。
向けられたのは、懐かしさなど微塵もない、純粋な不快感だった。

「……朝から何を言ってやがる。……工藤だか何だか知らねぇが、人違いだ。目ぇ腐ってんのか」

「……待って。……じゃあ、『みのり』は? 名前、……覚えてない?」

は必死だった。
心臓が痛いほど脈打ち、視界が涙で滲む。
もし、もし一欠片でも彼の中にあの日の記憶があるのなら。

しかし、爆豪は鼻で笑うと、一歩、のパーソナルスペースに踏み込んだ。
爆破の残り香が、彼女の鼻腔を突く。


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