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愛を教えてくれた君と 【ヒロアカ R18】

第1章 灰色の雨と、血の誓い


「……じゃあ、行ってくる」

轟は、名残惜しそうにの肩から手を離した。
彼を見送った後、が応援席に戻ると、案の定、友人たちがニヤニヤしながら待ち構えていた。

「あ、! さっきの轟くん、すごかったね。公開告白かと思っちゃった」

「もう、……違うってば。焦凍くん、ちょっと緊張してたみたいで」

心臓の鼓動を悟られないよう、努めて平静を装って流す。
今は、目の前の試合に集中しなきゃいけない。

トーナメント一回戦。第1試合、緑谷出久vs心操人使


「心操くん……」

は祈るように拳を握りしめた。
試合が始まった直後、フィールドに漂う緊張感が一変する。
緑谷が心操の『洗脳』にかかってる時、は全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。


(……え?)

緑谷の背後に、一瞬だけ。
ほんの一瞬、陽炎のように揺らめいた複数の気配。
その中に、どうしても忘れられない、魂に刻まれたあの『気配』が混ざっていた気がした。


(駆藤、くん……?)

心臓が跳ねる。
けれど、すぐに緑谷は自力で洗脳を解き、試合は緑谷の勝利で幕を閉じた。
幻だったのか、それとも。は呆然と立ち尽くした。



「……心操、マジで凄かったぞ!」
「普通科の鑑だよ、お前!」


戻ってきた心操の周りには、クラスメイトたちが集まり、口々に賞賛の声を送っていた。
は輪の少し外側から、何も言えずに彼を見つめていた。
彼の悔しさも、意地も、そして自分がヒーローを目指さないことへの彼の苛立ちも、すべてを分かっているつもりだったから。
すると、心操が不意に周囲の言葉を遮って、の方へと歩み寄ってきた。


「……心操くん」
「……悪かったな、朝。変なこと言った」

心操は視線を逸らしたまま、少しバツが悪そうに呟いた。


「え……?」
「お前にはお前の理由があるんだろ。……勝手に決めつけた。悪い」


その言葉に、の胸の奥に溜まっていた重たい塊が、すうっと溶けていくのが分かった。
彼は彼なりに、全力で戦って、何かを掴んできたんだ。


「ううん……。……お疲れ様、心操くん。本当にかっこよかったよ」


が心からそう伝えると、心操は少しだけ口角を上げ、またいつもの気だるげな表情に戻った。

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