第1章 灰色の雨と、血の誓い
結果は、初戦敗退。
「はぁ、はぁ……っ……」
ゴール地点で膝をつき、肩で息をする。
ヒーロー科の層は厚く、が次のステージに進むことは叶わなかった。
「! 大丈夫!? 顔色すごいことになってるよ!」
先にゴールしていた普通科の友達が駆け寄り、支えてくれる。
は力なく首を振った。
「うん……ちょっと、疲れちゃっただけ……。……行こう。皆の試合、見なきゃ」
初戦を終え、熱気に包まれるスタジアムの通路。
は友人に支えられながら、ふらつく足取りで観客席へと向かっていた。
頭の中では、まだ先ほど見た爆豪の……駆藤の面影が、爆音のように鳴り響いている。
「、大丈夫? 本当に真っ青だよ」
「うん……ごめんね、ちょっと圧倒されちゃって……」
友人に苦笑いを向けたその時、背後からけれど聞き慣れた落ち着いた声がした。
「」
振り返ると、そこには圧倒的な実力で初戦を突破した轟が立っていた。
わずかに土埃がついているが、その表情は崩れていない。
「焦凍くん……。初戦突破おめでとう」
「ああ。……お前、大丈夫か。順位は……残念だったな」
轟は一歩近づき、の顔を覗き込み、瞳の奥にある動揺を鋭く捉える。
「ううん、私にはこれが精一杯だよ。……焦凍くん、約束通り凄かったね。本当にかっこよかった」
「……そうか。なら、二回戦も見てろ。もっと圧倒的に勝つ」
「うん。……あ、そろそろ行かなきゃ。友達も待たせてるし、また後でね!」
は逃げるようにその場を離れようとした。
これ以上、焦凍のまっすぐな瞳に見つめられていたら、自分の心の中に渦巻く「もう一人の男」の存在を悟られてしまいそうだったから。
しかし、その腕を轟の手が優しく、けれど拒む隙を与えない強さで掴んだ。
「……待て。何かあったのか」
「えっ? 何も……」
「嘘だ。お前、俺を見てるようで、見てねえだろ。……さっきから、誰を思い出してる」
轟の問いに、の心臓が跳ねた。
幼馴染として、彼はの細かな変化に敏感すぎる。
「……気のせいだよ。ただ、ちょっと疲れちゃっただけ。焦凍くんも、次の試合があるでしょ? 集中して」
「」
「また後でね!」