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海に漂う星屑のように

第4章 海に漂う星屑のように


ぽつぽつとあふれる言葉
寄せては返す、波のように
静かに、それでも止まらずに

「昔から、みんなと違った
 好きな色も、漫画も、本も、ゲームも・・・
 同じにならなくて、
 でも、同じフリをしていた」

みんなと同じものが好きなフリ
みんなと同じ感じ方をしているフリ
そして、
みんなと同じように、女の子が好きなフリ

「でも、ダメだった
 どうしようもなかった
 カイトを・・・彼を好きになっちゃって
 隠しても、隠しても、あふれて、とまらなくなって
 それで・・・」

たった一度だけ、言ったんだ

『カイトが好き』・・・って

「そしたらさ、カイトも好きだよって言ってくれて
 だから、俺、嬉しくなっちゃって
 ふたりで色んな所に行ったんだ。
 カイトも楽しそうにしてくれた
 だから、俺、勘違いしたんだ
 ああ・・・カイトは俺の気持ち分かってくれたんだって」

でも
ある日、出かけた帰り道
俺にとっては楽しいデート
カイトにとってはダチとの遊び

今日みたい、こんな日。
夕日がきれいで、空に藍が落ちて、一番星が光ってて
カイトがいて、世界があんまりにもきれいで
俺はとても幸せで・・・。

「だから、俺・・・キスしてって言ったんだ」

瞬間、世界が、反転した。

戸惑ったカイトはその場から走り出した。

「手紙をもらったのは、それから1週間後。
 見るの怖かったけど、見た
 いっぱい、字が書いてあった。
 カイトなりに、たくさん、たくさん俺のことを考えて、
 一生懸命書いてくれたのが分かって。
 でもさ・・・『ダメ』・・・ダメだって・・・」

陽菜多の肩が震えている。
顔はよく見えないけれども、多分、泣いている。

夜が落ちて、暮れなずむ山下公園。
風がさらに冷たくなってくる。

陽菜多が、ぎゅっとマフラーを握りしめた。

それを見て、俺は、
何かを言ってあげたくて、
それでも何も言うことができなくて、

36年も生きてきたくせに、
俺は目の前で震えている、こいつに
掛ける言葉も見つからなくて・・・。

「・・・え?」

だから俺は、
苦し紛れに、自分のコートを、
陽菜多の肩にかけていた。

「大事な手紙・・・だったんだな」
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