第3章 結ばれる緣
廊下を歩いていると、やっと息を出来た気がして…ゆっくり棘を見る。狗巻家の家紋が入った袴。いつもとは違う髪型。七三で分け、額が見えていた。
「棘、かっこいいね」
「……しゃけ…」
歩く速度を上げた棘はもう喋らなかった。歩きにくい白無垢でなんとかついていき、見えた耳は赤くなっていた。置いて行かれないように手を握ると、歩幅を合わせて握り返してくれる。
「照れてるの?」
「おかかっ!」
"聞くな!"と怒られてしまった。図星のようだ。棘がそんな風になってるのが珍しくて、「可愛い」と揶揄うと片腕で軽々持ち上げられ、そのまま部屋に捨てられた。
あんな華奢な身体で、白無垢分の重さが増えた私を片腕で抱っこしないで…心臓に悪い。
白無垢を脱いでお風呂を頂き、戻ってくると、狗巻家の方が髪を整えてくれて、顔の横でリボンで軽く結わえる。
「これ、舐めてもいいものなの。棘くんが舐めても大丈夫よ」
「えっ……あ、はい…」
天然ミネラルと植物オイル、蜜蝋を使用しているルージュだと教えてくれる。"棘が舐めてもいい"なんて言われると、恥ずかしくて前を向けなかった。