第3章 結ばれる緣
すぐに着替えて棘を追いかける。棘の実家でひとりにしないで…棘の家族とは、昨日初めて会ったんだから。
廊下の角に棘の背中を見付けて駆け寄り、しがみつく。
「棘、ごめん!次えっちする時、ちゃんと心の準備しておくから、置いて行かないで!」
「……し、しゃけ…」
棘の声が歯切れ悪く、顔を上げる。棘の前に知らないおじさんがいた。私、なんて言ったっけ…どんどん顔が熱くなっていき、棘の背中に額をつけて隠れた。
私、はっきり"えっち"って言っちゃった。棘の少し速くなった鼓動が聞こえる。棘ですらそんなになってるってことは、偉い人なの?
「私は狗巻家の当主だよ。君が棘の奥さんになる子かな?」
当主…このままだと余計、失礼すぎる。慌てて棘の後ろから出て頭を下げる。
「はい、白鷺祝詞です。さ、先程の失言…お許しください」
当主様は笑って「大丈夫だよ」と言ってくださった。棘とえっちしようとしてたこと、バレた。恥ずかしくて顔を上げられない。
棘に手を握られて、ゆっくり顔を上げる。当主様は「ゆっくしていってね」と朗らかに笑い、廊下の奥に消えた。
「……棘、ごめん」
「いくら〜」
"大丈夫〜"と笑った棘に申し訳なくなる。ちゃんと確認もせず、変なことを口走ってしまった。笑って許してくれる狗巻家って…優しい。