第2章 恋が愛に変わるまで
そして10月31日。私はこの日を一生忘れないと思う。棘の腕は奪われた。私は今も、両面宿儺を許していない。
私は棘と一緒に行動していて、一般人の避難の誘導をしていた。呪いに襲われる人たちを見ていられなくて、少しでも状況が変わるならと…棘の拡声器を奪って一般人に声をかけた。
だけど、呪いが見えない一般人にかけても、あまり意味はなかった。
「"恐み恐みも白す"」
私は一般人を強化するのではなく、呪いを祓うことに転じた。
「"祓え給い、清め給え"」
近くにいた呪いが消滅する。
悠仁くんを駅に入れる為、棘も呪言を使い始めた。すぐに祓詞(はらえことば)から言祝に変え、棘と悠仁くんに声をかけた。
そうやって戦っていると、宿儺と特級呪霊が戦闘を始め、宿儺のせいで棘は片腕を失った。私のせいでもある。棘は私を庇ったから腕を失くした。もう棘の腕は戻らない。
「"治って"、"治って"っ…!お願い……"治って"…!!」
何度も何度も祈った。治らないことを知りながら。
「おかか…」
棘は"もういい"と残った右腕で私を抱き締める。初めての祓詞からの言祝で体力はほぼ残っていなくて、涙を流しながら息も絶え絶えに、蚊が鳴くような声で祈っていた。