第2章 恋が愛に変わるまで
3年前の春、私は東京都立呪術高等専門学校に入学した。
校門を潜って、舞い散る美しい花弁を掴む。
「こんぶ」
「ひゃうっ?!」
気配なんてなくて、私は手にした桜の花びらを見つめていた。だから、背後に迫った君に気付かなかった。
背骨の当たりをスーッと撫でられて、背筋が反る。振り向くと君は笑いながら、「可愛い」と零した。
一瞬、頭に靄がかかって、"可愛くありたい"とそう思うようになった。君にそう思っていて欲しいから。
目の前の君は、ネックウォーマーで隠した口元を手で覆い焦る。
「……高菜?」
なんの話をしているのかわからずに首を傾げる。そうしているとまた君は、首を傾げながら聞いてきた。
「すじこ?」
表情と語感からなんとく読み取って、「大丈夫だよ」と笑った。心配しているような声色と表情だったから。
たぶん、謝っていたんだよね?
これが初めての出会いだった。