第1章 変わらない毎日
〈幸せになる準備はできてるかー?〉
≪きゃー!!≫
この画面のなかで繰り広げられている
現実離れしたものは何なんだろう。
家に帰り瀬崎さんに借りた
DVDを見ているあたしは圧倒されていた。
人の多さ、ペンライトの輝き
それよりも圧倒されたのは主役の彼たち
【嵐】だった。
こんなたくさんの人の前で
歌って踊るだけじゃなく
ファンサービスを忘れない愛と
上の階の人からも見えるようにちゃんと設計された
演出というプロ意識
あたしはいつのまにか口を開けていた。
これが…アイドル【嵐】なんだ。
プルルルルルー。
『あ、瀬崎さん。どうしました?』
テレビの音量を下げ、
瀬崎さんの声に耳を傾ける。
何やら急いでいる声。
≪ちょ…ちょっと!
大変なの!
うちのコンビニが!≫
『強盗ですか?!』
≪違うの、違うの!
うちのコンビニが…≫
『はい。』
≪ニノの撮影現場で使われるの!!≫
『へぇ…ニノ?
ニノってもしかして…』
瀬崎さんと話ながら
テレビに目をやるとそこには
透明なピアノをデニムと白いTシャツ姿で
弾いて歌う彼がいた。
〈虹より~…君は~…君は~…〉
『二宮和也』